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繰越欠損金制限と特定資産譲渡等損失制限
被合併法人が有する繰越欠損金の引継制限
適格合併の場合、原則として被合併法人(吸収される側)が有する繰越欠損金は合併法人(吸収する側)に引き継ぐことができるが、これを悪用すると、「多額の繰越欠損金を有する会社を繰越欠損金目当てで買収し、合併して法人税負担を減少させる」といった租税回避行為が考えられる。
そこで、適格合併による繰越欠損金の引継ぎには一定の制限が課されている。
合併法人等が有する繰越欠損金の利用制限
合併法人と被合併法人を逆転させるなどの方法により、引継制限規定の潜脱を防ぐために、合併法人等(事業・資産を受け入れる側)における繰越欠損金の利用制限も課されている。
合併のみならず、会社分割、現物出資、現物分配でも制限が課されるので注意されたい。
特定資産譲渡等損失の損金算入制限
さらに、多額の含み損を有する資産を合併まで故意に処分せず、合併後に処分することによって、繰越欠損金の引継制限を潜脱する方法も考えられる。そこで、一定の資産から生じる譲渡等損失の損金算入制限規定も用意されている。
実務上の影響は重大
M&A実務において、繰越欠損金の合併後の引継可否は企業価値や事業計画に重大な影響を与えることがある。また、繰越欠損金の使用制限・特定資産譲渡等損失の損金算入制限は、意図せずこの制限に抵触し、思わぬ税務デメリットを被るおそれがある。
いずれも組織再編実務では落し穴となりやすい規定のため、十分留意して判断していただきたい。