税務申告書の作成例(無対価適格合併)
以下の、A社が完全子会社であるB社を無対価合併により吸収した事例をもとに、税務申告書作成の流れを説明する。
なお、中小企業の会計実務としては「抱合せ株式消滅差損益」を計上しないことが多いが、本例では企業会計基準の原則に則って計上した場合を取り上げる。
前提条件
- ・B社は数年前に、M&Aにより全株式を400で購入している。
- ・合併時のA社の連結財務諸表上、B社に関するのれん簿価は100であった。
- ・本合併は適格合併に該当する。
- ・B社の合併直前の会計上のB/Sは以下のとおりであった。
- ・A社は本合併に際し、企業結合会計基準に則って、会計上で以下の仕訳を切っている。
- ・B社は合併日前日で決算を行い、以下の別表五(一)で申告している。
Step 1 移転する資産・負債の税務上の帳簿価額の把握
移転する資産・負債は、会計上のB/S数値に別表五(一)の申告調整残高を合算することで計算する。その結果、以下のとおり算出できる。
Step 2 税務上の仕訳の把握
被合併法人の税務上のB/Sより、合併法人の税務上の仕訳を把握する。本設例では以下のとおりである。
Step 3 税務修正仕訳の作成
会計上の仕訳と税務上の仕訳を対比し、会計税務の差異を集計する。その結果、以下のような税務修正仕訳が必要であると結論付けられる。
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Step 4 税務申告書への記入
Step 3で作成した税務修正仕訳を元に、税務申告書を作成する。将来会計税務差異が解消されたときに備えて、各科目の調整は利益積立金額に集約するのがよい。