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繰越欠損金の利用制限
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利用制限規定の概要
組織再編において、合併の被合併法人以外の法人は、法人格が消滅するわけではないため、原則として有している繰越欠損金は引き続き利用することができる。
ただし、逆さ合併等による租税回避を防止する目的から、以下に該当する法人が有する繰越欠損金には、利用に制限が設けられている。
繰越欠損金の引継制限規定を確認する
対象となる法人(以下「合併法人等」)
- ・適格合併における合併法人
- ・適格分社型分割における分割承継法人
- ・適格分割型分割における分割承継法人
- ・適格現物出資における被現物出資法人
- ・適格現物分配における被現物分配法人
- ・完全支配関係内の非適格合併における合併法人
※いずれも事業・資産を受け入れる側
繰越欠損金の利用が制限される要件(適格合併の場合)
佐藤信祐『組織再編における繰越欠損金の税務詳解』中央経済社 を参考に加筆・修正し作成
※現物分配の場合、みなし共同事業要件は設定されておらず、すべてNoとして扱う。
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みなし共同事業要件とは
上図における「みなし共同事業要件」を満たす組織再編とは、完全支配関係内または支配関係内の適格組織再編のうち、以下の「規模同等によるみなし共同事業」または「双方経営参画によるみなし共同事業」のいずれかを満たすものをいう。
規模同等によるみなし共同事業要件
以下の3つの要件をいずれも満たす組織再編。
- ・合併法人等の組織再編前の事業と、被合併法人等の組織再編前の主要な事業のうちいずれか(または分割等により移転する事業)同士が相互に関連するものであること。
- ・双方の売上高、従業者数、(合併の場合のみ)資本金の額のうちいずれかの差が、概ね5倍を超えないこと(売上高・従業者数は上記相互関連の事業のみ比較する)。
- ・相互に関連する事業が、支配関係の発生から組織再編直前まで継続して営まれており、かつ、支配関係の発生時点と組織再編直前における規模割合(上記で使用した指標)が概ね2倍を超えて変動していないこと。
双方経営参画によるみなし共同事業
以下の2つの要件を共に満たす組織再編。
- ・合併法人等の組織再編前の事業と、被合併法人等の組織再編前の主要な事業のうちいずれか(または分割等により移転する事業)同士が相互に関連するものであること。
- ・組織再編直前における合併法人等と被合併法人等のそれぞれの特定役員のうち最低1名ずつが、組織再編後に合併法人等の特定役員になることが見込まれていること(ただし、支配関係発生日前に経営に従事する役員等であった者に限る)。
※特定役員とは、社長、副社長、代表取締役、代表執行役、専務取締役若しくは常務取締役又はこれらに準ずる者で法人の経営に従事している者をいう。
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利用が制限される繰越欠損金
支配関係発生日の属する事業年度以降に発生した繰越欠損金は引き続き利用できるが、それ以前の繰越欠損金は消滅する。
※ただし、上記利用可の繰越欠損金であっても、特定資産譲渡等損失(支配関係発生事業年度期首に保有し、支配関係発生日までに処分した資産を含む)により発生したものは除く。
また、利用不可の繰越欠損金であっても、支配関係発生事業年度の直前事業年度末における時価純資産超過額を算定し別表添付している場合は、その超過額までの繰越欠損金は利用することができる。
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