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資産調整勘定(税務上ののれん)
資産調整勘定は税務特有の資産科目であり、会計上ののれんと類似の概念だが、別個の要件により発生し、別々に償却されるものである。
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のれん、営業権、資産調整勘定の比較
|  | 発生分野 | 概念説明 | 償却方法 | 主な発生要件 | 
| のれん | 発生分野 会計 | 概念説明 取得した企業・事業の時価純資産と投資額の差額 | 償却方法 20年以内のその効果の及ぶ期間で定額法その他の合理的な方法により償却 | 主な発生要件 (単体決算の場合)取得による合併、分割、事業譲受 | 
| 営業権 | 発生分野 税務※ | 概念説明 法人が事業を継続的に行う権利・能力 | 償却方法 5年定額法 | 主な発生要件 非適格株式交換・株式移転、連結納税開始 | 
| 資産調整勘定 | 発生分野 税務 | 概念説明 非適格合併等における時価純資産と投資額の差額 | 償却方法 5年定額法 | 主な発生要件 非適格合併、非適格分割、事業の譲受 | 
※ 営業権は会計上も稀に計上されることがあるが、多くの場合では会計上は資産計上できないものと考えられる。
 
 
資産調整勘定/差額負債調整勘定の発生要件
▶具体的事例は「のれん&営業権償却が損金(税務上の費用)になる全パターン」を参照。
| スキーム | 事業移転要件 | 
| 非適格合併 | 事業移転要件 (課されない) | 
| 非適格分社型分割 | 事業移転要件 分割法人の「分割直前において営む事業」及び「当該事業に係る主要な資産又は負債の概ね全部」が当該分割により分割承継法人に移転すること。 | 
| 非適格分割型分割 | 事業移転要件 分割法人の「分割直前において営む事業」及び「当該事業に係る主要な資産又は負債の概ね全部」が当該分割により分割承継法人に移転すること。 | 
| 非適格現物出資 | 事業移転要件 現物出資法人の「現物出資直前において営む事業」及び「当該事業に係る主要な資産又は負債の概ね全部」が当該現物出資により被現物出資法人に移転すること。 | 
| 事業譲渡 | 事業移転要件 移転法人の「事業譲渡直前において営む事業」及び「当該事業に係る主要な資産又は負債の概ね全部」が当該事業譲渡により譲受け法人に移転すること。 | 
上記のうち、受け入れた資産負債の差額(時価純資産)を、組織再編の対価の時価が上回る場合に資産調整勘定が、下回る場合に差額負債調整勘定が、別表五(一)において計上される。
なお、たとえばある店舗を個別の事業として事業譲渡する際に、建物の所有権を譲渡法人に残し、譲渡法人と賃貸借契約を結ぶといった事業再編の場合、一見すると主要な資産が移転していないようにも見える。これについては財務省より、「これによってただちにその資産が移転しないものと扱われるといったことではなく、その経緯や譲受け法人における使用の状況等の実態をみて実質的に判断することになる」(『平成18年度税制改正の解説』財務省広報)という見解が示されており、事業実態を考慮した柔軟な対応が認められるものと思われる。
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資産調整勘定/差額負債調整勘定の均等償却
5年間にわたって月割りで損金(差額負債調整勘定の場合は益金)に参入する。
平成29年3月31日までに行われた組織再編においては、月割計算をしない「5年均等償却」での償却でしたが、税制改正により、平成29年4月1日以降は通常の定額法と同様の償却方法になりました。
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